ごくせん THE MOVIE  新作レビュー

観た日/7月某日 ★★

テレビドラマの続きを映画で!というのは昔からあったけれども、劇場版で製作・公開するならそれなりの工夫やスケール・アップがほしい。

その辺り、物語の規模を大きくすればいい、というものではない。長いドラマで描いてきた物語を2時間のコンパクトなものにするからこそ、余計、丁寧な物語展開をしなければならない、と思う。

テレビドラマの映画化だからと言って、テレビドラマと同じ展開、演出をしていては、それこそ映画化の意味などないではないか。ドラマの味は残しながら、映画版ならではの味付けをしないと、お金を払って映画館で観る価値はないのではないか。

テレビ局が映画を製作すること自体は、否定はしない。テレビ局中心で映画を作ることで、より制作資金が豊富となり、多彩な映画が製作されるなら、それも大歓迎だと思う。

ただし、最初の企画がテレビ局ありきになってしまい、肝心の映画の質が落ちたり、マーケティングで大多数の評価がないと映画が製作、公開できないような状況になると、いつか観客は日本映画から離れていくのではないか、と危惧してしまう。

もちろん、テレビ局製作の映画も、そういうものばかりではない。良作も傑作もある。ただ、人気が出たテレビドラマの続きや最終回を映画で、というパターンがあまりに続くと、映画って何だろう?なんて思ってしまう。

無料でテレビシリーズを楽しんで、続きは有料で、なんていうのは、それこそがテレビ局の傲慢だと思うがどうだろう。多くの観客に、そんな映画を「映画」と思われては、ちょっと「映画」が可愛そうである。

最近、アメリカ映画がヒットしないのも、この辺りに原因があるのではないか。まだまだアメリカ映画は、娯楽作でも、きちんと作り込んで、行間を読める作品が多い。説明過多な日本映画の影響で、考える観客が少なくなっている、と思うのは僕だけではあるまい。

で、人気ドラマシリーズ「ごくせん」の映画版だが、事件そのものはテレビ版よりもスケールは大きいのだけれども、正直、物語的にも、スケール的にもテレビサイズを超えていない。

過去シリーズに出演してきた若手人気俳優も総出演してはいるが、副主人公的な1人を除いて、彼らがあまりストーリーに絡んでこないのもかえって不思議で、顔見せでもファンは嬉しいのかもしれないが、正直、あまり効果的とは言えなかった。

テレビシリーズも初期のものは生徒たちの気持ちや先生であるヤンクミとの交流を丁寧に描いたものもあったのに、いつの間にか「水戸黄門」のようにパターン化されちゃった。映画版はそのパターン化した第3シリーズの流れを受けているので、出てくる事件の黒幕の設定など、ちょっと荒唐無稽になってしまった。

それでも、仲間由紀枝は魅力的だし、卒業生役の三浦春馬は存在感がある。冒頭の竹内力には笑ってしまった。何があっても生徒を信じ、信念を貫くヤンクミ先生の姿は、あざといけれども、ちょっぴり胸が熱くなるのだった。

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