ハート・ロッカー  新作レビュー

★★★★

アカデミー賞受賞の話題作。

イラクの戦場で、爆発処理に当たる小隊を描く。

戦争に対して、賛美も批判もせず、ただただ危険な爆発処理に積極的に取り組む兵士の姿を、とくに前半は一歩引いた形でカメラが追っていく。

主人公の兵士は爆発処理にひとつの生きがいのようなものを感じていて、そこに使命感のようなものはない。

その処理の様子は、スクリーンの中の登場人物以上に観客のこちらはハラハラする。命知らずで、どこか何かを捨てたような感を受ける主人公に、部下で爆発処理の援護をする諜報部上がりの兵士、そして精神的に少し不安定な若手兵士は、自分の生命も危険にされされると反発していく。

この3人の人間関係が砂漠でのゲリラとの遭遇戦を経て微妙に変化する。危険区域で生死を共にしたからこその友情も芽生えるが、戦争の現実を描いたこの映画は、そんな甘っちょろさは微塵もない。

ただの命知らずと思えた主人公は、やがて現地の少年との交流で優しい表情を見せ、祖国に残してきた妻や子どもへの想いも垣間見せる。

だが、彼は戦場でしか自分の生きる道を見出せないでいる。これまでもこうしたテーマの傑作は多々あったが、携帯電話やゲームが登場するこの映画は、過去ではなく、まぎれもなく現実であることを感じさせる。

最初から最後まで目が離せない、緊張感にあふれた「戦争映画」である。男たちの過酷な現状を描きながらも、登場人物たちの細やかな感情が伝わってくるのは、女性監督ならではかもしれない。
2



2010/4/12  2:03

投稿者:マニィ

仲間達のFさま、ありがとうございます。ご無沙汰しております!

駐留されている側から見れば、確かに彼らは決して紛争を解決してくれる救世主ではないのでしょうね。

爆発物を処理しながら、兵士たちを冷ややかな見つめる市民たちの目がまた印象的でした。

米兵から見ると、彼らがテロリストか一般市民なのか分からない恐怖があって、その辺りがアメリカ目線ながら、リアルな戦争の恐怖を描いているのかなあ、と思いました。

僕たちが平和に映画を楽しんでいる時代に、こういう事態が起きている、というのは本当に怖い、と実感します。

2010/4/12  1:58

投稿者:マニィ

ナットマンさま、ありがとうございます。

異が痛い・・・確かにそうでした。痛みを感じる映画こそ傑作、と思う僕にとっては、なかなかの充実した映画的な緊張感でした。

ラストには僕もヒリリとしました。一見、賛美も批判もしてないように見えて、実は戦争という病を描いた、強烈な反戦映画なのかもしれません。

2010/4/9  19:46

投稿者:ナットマン

 正直言って、ずっと胃が痛かったです。
 僅かに使命感らしい物と言えば、自分が対処しない事によって、
更なる被害者が発生する事を懸念していたような…
 ラストのアレを見ていて、改めて戦争と言う病を、
人は治せないものかと。

2010/4/9  18:53

投稿者:仲間達のF

的確な映画評ですね!私にもこの映画はマニィさんと同じ様に感じました。でもアメリカ側から見た視点だからそのように感じるのかもしれません。駐留されている側から描いたら全く別の映画になるのでしょうね!紛争や、テロの悲劇が世界から無くなってくれるのを強く祈ります。これが製作者のメッセージだと信じています!!

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