映画クレヨンしんちゃん 超時空! 嵐を呼ぶ オラの花嫁  新作レビュー

★★★★

正直、最近は低調だった映画「クレしん」シリーズだったが、この作品で完全復活した感がある。

前作でキレのいい演出を見せてくれた、しぎのあきら監督だが、今回はテンポも物語の展開もすこぶる好調。「しんちゃん」が本来持っているギャグと「家族の絆」という裏テーマとのバランスもいい。

何より野原一家と春日部防衛隊(しんちゃんの幼稚園でのお友達たち)の未来を見せる、という、ある種の禁じ手を使い、映画らしいスペシャル感も出している。

実写化もされた「戦国大合戦」や、アニメ映画史上に燦然と輝く傑作「オトナ帝国の逆襲」を製作した原恵一監督の一連の“しんちゃん”映画は、ギャグを多少抑えながらも、物語のクオリティや「家族」を前面に出していた。

それが今回は、ギャグの降り幅も大きいし、ゲスト声優の扱いも半端じゃなく大きい。それでいてゲスト声優の下手さも凄くて、ある意味インパクトの強烈さは相当なもの。

それでも今回の映画が成功しているのは、時空を超えた未来で、姿形はずいぶん変化しているものの(ここが抜群に笑える)、変わらぬ愛情を持ち続けている父ちゃんと母ちゃんの姿をきちんと描いていることだろう。

どんな大変なことになっても、変わらない家族の思い。ここがしっかりしているからこそ、このシリーズはあなどれない。今回も、ラスト近くの父ちゃんのセリフには、しっかりと泣かせてもらった。

この辺りは、スタッフによる、映画完成前に亡くなられた原作者への想いも感じられる。しんちゃんが「オラは死なない!」と絶叫するシーンは、間違いなくアニメスタッフから原作者に向けた、誓いであり、決意であろう。

この映画で驚いたのは、タイムスリップ物で必ず問題になる「タイム・パラドックス」の問題を、ラストでさりげなく解決している点。ハチャメチャなようでいて、SF的な解釈もきちんとしているのには感心した。

幼児向けに作っているからこそ「未来は決まっていない。だからこそ、自分たちの手で未来を切り開いてほしい」という子どもたちへの作り手の熱いメッセージが感じられる。

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