ヒックとドラゴン(日本語吹き替え/3D版)  新作レビュー

★★★★

3D映画なるものが主流になってきて、ちょっと心配だったのが、質のいいものと悪いものがゴチャゴチャになってしまい、結局、映画館をいたずらにアトラクション化するだけじゃないの?ということだった。

そして、心配した通り、安易な3D映画が多くなり、本来の3D映画の魅力や意義さえ失っているのでは?という状態になっている。「アバター」のように、撮影段階から3Dにする前提で機材を整備し、製作している作品は実は少ない。ほとんどの3D映画は完成してからポストプロダクションで3Dに加工しているのが現実だ。これではなかなか質のいい3Dなど望めそうにない。

アニメーション映画も、これから3D映画が主流になるのだろうが、まず3Dありきではなく、内容やクオリティを吟味したうえで、その効果を熟慮して3Dにするかどうかを決めてほしい、と思う。「迫力のある映画は、何でも3Dにすりゃあいい」なんて作り手がいたとしたら、正直、ぶっ飛ばしてやりたい、と思う。

…さて、この映画だが、3Dアニメの黎明期に、こういう良質な作品が出てくると、ホッとする。正直、3Dの効果的な映画ということで言うと、「アバター」以来ではないか。アニメーションとしてのクオリティも高い。何より脚本が良くできていて、物語性、娯楽性の質がすこぶる高く、さりげないメッセージ性もあっていい。

ドラゴンと少年の交流、というよくあるパターンのファンタジーではあるが、その関係性が変化していく様が実に緻密。ベタベタした関係になるのではなく、あくまで人間と動物、という線が引いてあるのが、ファンタジーの中にもリアルさを感じさせる。

…そして、少年の成長物語ではあるのだけれど、主人公の少年は、成長と引き換えに、あるリスクを手にする。これには驚いた。少年少女向けのファンタジー・アニメでありながら、こうした人間としての「痛み」をきちんと描いている点は評価できる。冒険や成長に危険はつきものだ。だけど、そこを超えるから、人は成長できる。そんな子どもたちへの作り手のメッセージが、真摯に伝わってくる。

ドラゴンの飛翔シーンは、3D版だと実に迫力があって、3Dの特色を巧く生かしている。CGのクオリティも抜群に高い。聞けば監督さんは、もともとディズニー所属で、「リロ&スティッチ」を手がけた方らしいが、「ボルト」の演出を巡って会社と対立し、ドリーム・ワークスに移籍しての今回の映画ということらしい。

そういう背景もあるのだろうが、最近のディズニー・ピクサー社のアニメとは一味違うものを作ろう、という意欲もあったのだろう。意欲的で質の高い3Dアニメに仕上がっている。

5



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL





AutoPage最新お知らせ