トイ・ストーリー3(3D・吹き替え版)  新作レビュー

★★★★

物語の質の良さ、という点では、映画製作会社としての「ピクサー社」が創り出す作品は、10割打者と言ってもいい。

今回は、人気シリーズ久々の続編にして完結編。何より「トイ・ストーリー」は、ピクサー社が手がけた世界初のフルCGアニメである。ピクサー社のスタッフにとっては、最も大切な作品であり、シリーズだろう。

だからこそ、なみなみならない気持ちでこのシリーズ最終作に臨んだことは、映画を観れば分かる。冒頭のアクションから始まって、後半のウェルメイドな展開に至るまで、濃密で練りに練られたエピソードが続く。

おなじみのキャラクターたちも健在で、ラストの展開に至っては、このシリーズをずーっと愛してきた人にとってはたまらないだろうと思う。

この映画に感じるのは、“優しさ”だ。全編にわたって、作り手がキャラクターに対して愛情を込めていることがしっかりと伝わってくる。

感情がないはずのおもちゃが、実は感情があって、悩んだり笑ったりしている。そんな真実を知らない人間が、成長しておもちゃを卒業する年代になったとき、かつて遊んだおもちゃを、ただの「物」として感じるのか、愛情の対象として見るのか。

この、人がどう気持ちを持って接するかどうかで、実はおもちゃたちの人間性(?)が形成されていく、という点が今回のポイント。主人公たちの持ち主アンディは大学生になっても、ウッディやバズたちに愛情を持ち続けている。

だからこそ、ウッディやバズたちは、どんな状況になっても希望を忘れない。だが、今回の映画では、この一方で、人間によって捨てられ、ぞんざいな扱いを受けたことで心が壊れてしまったおもちゃも登場するが、この敵役がいるからこそ、物語に深みを与え、心地よいラストへと繋がる。

アメリカも日本も不景気で、僕たちが思っている以上に色々な価値観が崩壊している今、もっと周囲の生命あるものも、そうでないものにも、豊かな感情と愛情を持つ大切さを向けることの大切さを、さりげなく訴えているように思える。

僕は3D版を観たが、物語重視だからこそ、正直、3Dである意味はあまり感じず、2D版でも充分な気がした。冒頭の短編は3Dだからこそ、の面白いものだったが、本編は無理に3Dにする必要はなかったのでは?
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