ケンタとジュンとカヨちゃんの国  新作レビュー

★★★★

若者たちを描いたロードムービーだけど、そこに「成長」など微塵もないのがいい。ただひたすらに、破滅に向かう若者たちを描く。

最近の日本映画にはない暗さと破壊に満ちあふれているが、それでいてさわやかな印象を受けるのは、映画に流れる疾走感と、俳優陣たちの頑張りによるところが大きい。

ケンタとジュンとカヨちゃんを演じる松田翔太、高良健吾、安藤サクラがいい。

ブスでワキガで、どこか可愛くて憎めないカヨちゃんを、安藤サクラは正に怪演。彼女の存在が、この映画を力強くも、より繊細にしている。

高良健吾は、「ボックス!」でいいなあ、と思っていたけれど、ここでもシャイだけど心がシャープな青年を好演している。ぶっきらぼうで攻撃的な松田翔太の演技を、きちっと受け止めている感じがあって、2人のやり取りはハラハラしながらも心地よいものさえ感じる。

3人のアンバランスなバランスの良さが独特な雰囲気を醸している。特筆すべきなのは松田翔太で、これまで二枚目的な役柄が多く、正直、「松田優作」的なものを感じなかったのが、後半、この映画で暴走する翔太氏は、「野獣死すべし」の優作氏の“狂気”を彷彿とさせ、何かゾクゾクするものを感じさせた。

若者たちを破滅に向かわせる根源的な原因として、国や社会を感じさせながらも、そこを声高には叫ばないのがいい。ただ前にある壁を壊すことしか考えず、闇に向かって疾走する若者たち。

この映画を観た感覚は、かつて「イージーライダー」「タクシードライバー」などの洋画、そして「青春の殺人者」や「太陽を盗んだ男」などの日本映画で感じた味わいに近いのだけれど、どこか現代的で、今だからこそ味わえる感覚でもある。
3



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