君が踊る、夏  新作レビュー

★★★★

「悪人」レビューでちょっぴり書いたけれど、東映も最近は“質”にこだわった作品づくりをしているように見受けられる。

とくに今年は、僕にとってものすごくよかった「孤高のメス」も「今度は愛妻家」も、東映の配給作品であり、頑張ってるなあ、という印象だ。

この数年、東宝を追従するような若者向けの作品づくりをひとまず置いて、大人が鑑賞できる作品づくりに絞っているのは好ましい。

そんな中で登場したのが、この映画。キャスティングは若者向けだが、そんな最近の東映東京撮影所作品らしく、いわゆるチャラチャラしてないのがいい。高知県を舞台にした“よさこい踊り”に賭ける若者たちを描いていて、地味ながら“誠実”な作品になっている。

“よさこい鳴子踊り”は、高知で戦後発展し、今や全国に広がっている。僕が住んでいる山口県も盛んで、山口県よさこい連絡協議会という組織もある。

高知のものとはちょっと違って行進はしないが、鳴子を使うこと、郷土の音楽をモチーフにした音楽を使うこと、元気に自由に、笑顔で踊る、という点では共通していて、僕の友人にも踊り子たちがいて、夢中になっている。

感心するのは、彼らは“よさこい”を踊ることで、仲間たちと気持ちと気持ちを通わせること、まちを活性化させることなど、単に自分たちが踊るだけでなく、様々な人の心や絆を紡いていること。彼らの活動は、見ていても、気持ちがいい。その踊りは、上手や下手を超えて、見る人の心に迫るものがある。

この映画は、そんな“よさこい”の魅力に、きちんと迫っている。「仲間のために、踊る。それが自分の夢にも繋がる」。そんな“よさこい”の原点を、小児がんの少女がよさこいを踊った、という実話を元にしながら、上手く脚本化し、誠実で良質な物語にしている。

主人公は自らの夢とよさこいの板挟みになるが、ここをじっくりと描くことで、観客もまた、主人公の判断について、一緒に悩む。やがて主人公はひとつの結論にたどり着くが、ここへの過程が丁寧で、クライマックスで僕はスクリーンに向って思わず応援していた。

演じる溝端淳平氏、五十嵐隼士氏、木南晴夏さんも好演。クライマックスのよさこい踊りのシーンは、カット割りも見事で、その迫力や魅力を十分に伝えてくれる。

…あと、少女の父親役の本田博太郎氏は、いつでもどこでも、“本田博太郎”氏だなあ…と。下手をすると映画全体のバランスを壊しがちなのだが、ギリギリのところで踏みとどまっていて、ちょっと安心。それと、テレビのバラエティでおなじみのDAIGO氏のコメディリリーフぶりがよくて、これはちょっとした発見だった。

「君が踊る、夏」オフィシャルサイト↓
http://www.kimi-natsu.com/
4



2010/10/22  17:07

投稿者:マニィ

ナットマンさま、ありがとうございます。

本当に、高知の川のように、清涼剤のような映画でした。

こういうさわやかな青春映画が、最近は少なくなりましたね。

2010/10/3  18:04

投稿者:ナットマン

『一服の清涼剤』という言葉が、この映画を指し示す言葉として最も的確だと思いました。
心のつながりが巧みに表現されていたのにも好感を持てました。

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