ヒア アフター  新作レビュー

★★★★

真正面から人間の“死”を扱った珍しい作品。

霊能力者が出てくるが、決して“オカルトチック”に走らず、死に対する様々な体験をした3人を登場させ、それぞれのエピソードがやがてひとつの物語に結実していく様が興味深い。

実に奇妙な脚本で、決して出来がいいとは言えないとも思うし、ツッコミ所や矛盾点もあるのだが、クリント・イーストウッド監督は、全体的に抑え気味のトーンで手堅く、落ち着いた演出を試みている。冒頭、インドネシアでの津波のシーンが迫力満点で、いきなり派手な仕掛けを見せるものの、あとは静かに物語が進む。

死者の「声」が理解できるアメリカの霊能力者は、その能力ゆえに心が傷つき、能力を封印して工場で働いている。アルコール依存症の母親を心配しているロンドンの幼い双子の兄弟は、思いがけない事故でそのうちの1人が命を失ってしまう。パリ在住の女性ジャーナリストは、旅行先で大規模な津波に巻き込まれ、そこで臨死体験をしてしまい、その経験が生活に大きな影響を及ぼしてくる。

霊能力者が普通の生活を目指して料理教室に通い、そこで出会った女性とのエピソードや、双子の兄弟にまつわる話が秀逸。物語の中で一貫しているのは、「死」の真相に迫ろうとすればするほど、登場人物たちは混乱し、傷ついていく。

しかし、やがてひとつの物語に結実していく3つのエピソードから浮かび上がるものは、亡くなった身近な人たちへの愛、そして亡くなった人から生きている人への愛、そして、死は免れないからこそ、今を“生きる”大切さだろう。

ラストはやや唐突な感もあるが、これこそが“生”を謳歌する大切さを歌いあげた作り手のメッセージではないかと思う。

公開後、東日本大震災が発生し、この津波のシーンがネックとなってこの映画は上映中止になってしまった。仕方ない気もするが、是非、DVDは発売してほしい。

津波の描写は確かにリアルで、実際の災害を思わせる部分もあるかもしれないが、作品自体の狙いはそこにはないのだから、少し時期を見ても、DVDはリリースしてほしいものだ。
2



2011/5/16  16:54

投稿者:マニィ

ナットマンさま、ありがとうございます。

そうですか。是非、ソフト化してほしいですよね。確かに津波のシーンはリアルですが、津波そのものの脅威を描いた作品ではないですし。

そこは、逆に配慮してほしいな、と思います。

2011/4/20  21:53

投稿者:ナットマン

 この作品、個人的にも無念を残す事になってしまってたんです。
 作品中寝てしまうと言うありがちな『アクシデント』で。
 8割方は観ていたので、あとの2割が実に惜しくて…
 私も数年後になっても構わないから、
発売なりレンタルなりに出てきてほしいと思っています。

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