キック・アス  新作レビュー

★★★★

「GANTZ」と比べるのは無理があるかもしれないが、原作のグロさを少し薄めにしているのに比べ、このアメリカ映画は、ヒーロー物のパロディという体裁を持ちながら、肉体と肉体がぶつかり合うリアリティと“痛さ”をきちんと表現している。

これがこの映画の魅力にして特徴であり、R−15指定になった理由だろう。

パロディでありコメディ、それでいて、復讐や少年の成長物の側面もあって、少女が大活躍するアクション、という趣味性も併せ持つ、正に自由な発想で作られた、バラエテイ豊かで痛快な一品。

モテないひ弱でヒーローおたくの高校生が、誰にも頼まれてないのにコスプレしてヒーロー「キック・アス」として、街のパトロールを始める。あっさりに犯罪者にやられて重傷を負うが、それでも懲りない彼は、必死で暴漢を倒し。その姿がYouTubeにアップされ、評判となる。やがて彼は、犯罪組織と対峙する壮絶な訓練をしている父娘“ビッグダディ”と“ヒットガール”と出会い、共に闘うことになる…。

この映画の魅力のひとつが、キュートでローティーンのヒットガール。実に可愛く、それでいてアクションのキレも素晴らしい。ニコラス・ケイジのクレイジーな父親ぶりも見物で、変身後の“ビッグダディ”が「バットマン」そっくりなのも確信犯で笑わせる。その存在も“ダークヒーロー”のパロディなのだろう。

敵も味方も同じ街の住人、というのは「スパイダーマン」や「バットマン」を思わせるが、何より本来は主人公のはずの「キック・アス」が、からっきしのダメ男で弱い、という設定が効いている。

興味深いは、“正義”を描いていながら、実はこの映画自体、正義とは真反対の反モラルの匂いがプンプンしていることで、13歳の少女が容赦なく殺人を、それもカッコよくやっちゃうのだ。物語も、中心人物が入れ替わり立ち替わり変わったりしていて、ある意味起承転結を無視しているところがある。どこかハリウッドメジャーのアメコミヒーロー物に反抗、反発し、作り手が好き放題やっている、という感がまたこの作品の魅力だろう。

それにしても、こういう映画を観ていると、本当にアメリカはアメリカンコミックがサブカルチャーとして幅広い層や世代に根付いている、ということを実感する。ヒーロー物でアメリカ史まで語ってしまった「ウォッチメン」という快作もあったが、アメコミヒーローからアメリカの社会が垣間見えちゃうのである。




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