僕たちは世界を変えることができない。But,we wanna build a school in Cambodia.  新作レビュー

★★★★

深作健太監督作品。

アクションのイメージが強い深作監督だが、この作品を観ると、真摯なまなざしで映画に向き合っていることが伺える。

「バトル・ロワイアル」のキャンペーンで、健太監督と、その父君で僕が大尊敬している故・深作欣二監督とともにお会いし、お話をさせて頂いたことがある。

話はそれるが、このとき、「バトル・ロワイアル」試写のあと、高校生と深作欣二監督の討論会の司会をさせて頂いたのだが、深作欣二監督は「ビートたけしが演じた先生がかわいそうだった」という徳山の女子高校生の感想をいたく気に入られ、そののちの国会議員との討論会でも「あんたたちよりよっぽど女子高校生の方がこの映画のことを分かっている」と仰られたそうだ。

深作健太監督、このときはプロデュースと脚本を担当されていて、監督デビューの前だったが、腰が低く、いつもにこやかな方で、やはり少年のころからの映画好きということで、いろいろと映画のお話をさせて頂き、楽しい時間を過ごさせて頂いた。

そのまっすぐさが、この作品にも貫かれている。

この映画、実話の映画化ということだが、主人公の大学生たちがカンボジアに学校を建てるため、視察で現地に行くシーンがかなりのシーンを占めているのだが、そのシーンはまったくのドキュメンタリーの様相を見せる。

ガイドも原作者を案内したという現実の方であり、カンボジアに今も残る内戦や虐殺の跡地、厳しい現実の場所における若い役者たちの衝撃や嗚咽などのリアクションは、役のそれではなく、間違いなく素の反応である。

カンボジアでのシーンを挟んで日本での状況が「ドラマ」として描かれていく。普通、ドキュメンタリー的要素をフィクションに入れるとバランスが崩れるのだが、この映画ではカンボジアの歴史と現状をリアルに紹介する部分の前後に「なぜカンボジアに学校を建てようと思ったのか」「厳しい現実を見て、困難な状況も出てきて、果たして学校が本当に建つのか」というノンフィクションを前提にした“フィクション”を描くことで、かえってドラマとドキュメンタリー的な部分の対比が鮮やかになった。

若手俳優たちの熱演も光る。


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