がんばっぺフラガール!〜フクシマに生きる。彼女たちの今〜  新作レビュー

★★★★★

東日本大震災で被災した、福島県のスパリゾートハワイアンズ。昨年、休業を余儀なくされ、その間、同施設のフラガールたちは映画「フラガール」で描かれたオープン時以来の全国キャラバンを展開した。

その、「フラガール」たちのキャラバンを描いたドキュメンタリー…のはずなのだが、この映画では、実はキャラバンを展開する「フラガール」たちの姿を、あまり描いていない。

小林正樹監督の興味は、実はそこにあまり向いてない。

もちろん、キャラバンの様子は描かれているのだけれど、そこは意外にサラっとしていて、恐らくテレビで放送されたドキュメンタリー番組の方がかなり詳しいだろうと思う。

この「映画」でまず描かれるのは、スパリゾートハワイアンズの深刻な被災状況から始まって、そこに勤める人たちの意外な前向きさ、そこへ避難してきた方々の厳しくも苦しい本音、そして従業員たちとの交流と感謝である。

小林監督の目は、フラガールよりも、ファイヤーダンサーズの男性ダンサーたちに向けられる。彼らは火を扱うため、消防法の関係でキャラバンでは踊ることはできない。妻や子もおり、背負っているものも大きい。休業中、裏方をやりながら先が読めない中、ただひたすら身体を鍛えるその姿が語りかけるものは悲壮感と強さが混じる。

そして、監督とフラガールたちのサブリーダーとの交流。彼女は福島第一原発のすぐそばに家がある。最初は距離があった監督と彼女は、ふとしたきっかけで距離感が縮まり、家族にも取材をする。この辺りがリアルに感じられるところがドキュメンタリーの面白さであり、優れた点だろう。

最初の一時帰宅で、バスの外で取材をする他の報道陣を横目に、監督は防護服を着て、彼女の家族とともに自宅周辺に入る。

このリアルさは凄い。

報道のカメラが一切入ってない時期だけに、映像で全てが語られる。あのとき、フクシマで何が起きたのか。記録としても貴重なものになるだろう。そして、ここで暮らしてきた一般の家族の想い。原発とは何なのか。なぜ、こうなったのか。怒りと憤りを感じる。

やがて映画は、彼女を含めたフラガールたちが、再開が決まったスパリゾートハワイアンズで、再び舞台に立つシーンがクライマックスとなる。このシーンは映画「フラガール」のカット割を踏襲しているが、あの映画とは違い、役者ではなく本物のフラガールたちの「本物」の迫力と、久しぶりに舞台に立てた喜びが画面にあふれていて、鳥肌が立つ。

しかし、大変なのはこれからだ。地震、津波、そして原発事故。フクシマの不安は、まだ現実の不安だが、そこから立ち上がる人々の「希望」を描いたことで、この映画は2011年に製作された、決して人々が記憶に留めておくべき一本になったと思う。

僕はこの映画の上映を山口県で企画する機会を与えられ、小林監督とのトークショーの司会もさせて頂いた。事前に現地を見ようと福島県を訪れ、いわき市役所の方に震災当時の色々な話も聞き、津波の被害があった被災地にも行った。

地震から約一年経過していたが、ガレキの山や津波の被害が最も大きい場所、仮設住宅などを実際に訪れ、様々なことを思った。いわき市は原発周辺の地域に住んでいた多くの方々が避難していた。仮設住宅のほとんどがこうした方たちの住居になっている。

いわきから福島第一原発までは40キロほどだが、「住んでいたところに比較的近い、海に近いところで暮らしたい」という思いがあって、いわき市へ避難されている方が多い、ということだった。

スパリゾートハワイアンズも訪れゆっくりて温泉にも浸かってきたが、帰るとき、美しい福島の海と夕焼けの空にも接して、何だか涙があふれてきた。この体験は、この映画とともに一生忘れないだろう。

3



2013/1/5  11:37

投稿者:カミタク(リンク先URLは「スパリゾートハワイアンズ入湯記」)

【リンク報告】
 こんにちは。カミタク
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/
と申します。

 私が運営しております、鹿児島温泉(鹿児島市内温泉)を中心にして、鹿児島県内外の温泉と観光スポットを紹介するホームページ「温泉天国・鹿児島温泉紹介!」
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/kagoonin.htm
内のサブ・コンテンツ「スパリゾートハワイアンズ入湯記」
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/FUKUSK02.HTM
のHP欄から、この貴ブログ日記記事にリンクを張りましたので、その旨、報告申し上げます。

 今後共、よろしくお願い申し上げます。



http://homepage2.nifty.com/kamitaku/FUKUSK02.HTM

2012/6/18  19:03

投稿者:マニィ

伊達邦彦さん、ありがとうございます。

あの事故の教訓が全く生かされていない現状に怒りを感じます。

あれから一年以上経って、僕らのところに色々なものが伝わっていないような気がするのは、僕だけでしょうか。

2012/6/16  5:11

投稿者:伊達邦彦

フクシマが福島に戻れる日が来るのだろうか。その日が来てもそこが故郷だった人はもういないのかも知れません。
多くの大事なものを失くした人たち、その喪失感は想像しようもありません。
それでも前を向いて生きようとする方々には尊敬の念を抱きます。今も悲しみに暮れる方々には心安らかなる日が来ますことを願わずにはいられません。

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