野獣死すべし  名作・傑作を語ろう!

 この映画を映画館で観たのは、高校2年生のとき。僕たちにとって「松田優作」とは、正に郷土の誇りであり、リアルタイムのヒーローでした。

 とくに映画仲間で親友のT君とはともに優作さんに入れ込んでいて、いつも2人で優作さんの映画の話で盛り上がっていました。

 よく覚えているのは、確かその日は雨が降っていて、2人で急いで自転車を漕いで映画館に入ると、もう映画は始まっていました。ブルーを基調としたちょっと荒い画面に、外と同じように映画の中も雨が降っていて、優作さん扮する伊達邦彦が、拳銃を奪うシーンが展開されていました。その場面の鮮烈さに、2人ともイスに座るのも忘れて、釘付けになってしまいました。

 この映画は、優作さんが今までのハードボイルドのイメージを変えようと、原作の「伊達邦彦」から大きくキャラクターを逸脱。ベトナムで地獄を見た戦場カメラマンが、何かに憑かれたように犯罪を犯して行く、という物語になっていました。

原作者は激怒したらしいですが、原作小説とは全く雰囲気が違います。僕らも原作を読み、てっきり「蘇える金狼」や遊戯シリーズで見せてくれた、カッチョイイ、タフな優作さんが見れる!と思って劇場に行ったので、それは意外でうれしい裏切りでした。

 優作さんは10`近く減量し、抜歯もしたとか。正に狂気の「伊達邦彦」になり切っていて、その病的な狂気に、究極のカッコ良さを感じ、本当に痺れて映画が終わったあとは2人とも立ち上がれないほど。10代で感性も若かったのか、ああいう『映画体験』はあれが最初でした。

 それからかなりあとの「家族ゲーム」や「それから」、久々のアクションでこれもまたうれしい裏切りをしてくれた「ア・ホーマンス」も大好きですが、この作品も忘れられない優作映画の1本になっています。
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