ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟  新作レビュー

見た日/9月某日 ★★★

 ウルトラマンが誕生して40年。僕は42歳なので、初代ウルトラマンが放映されたのは、二歳ということになる。翌年の「ウルトラセブン」も含め、最初の放送はほとんど覚えてないが、何度か再放送して小学館の学習雑誌などで盛り上がり、いよいよ「帰ってきたウルトラマン」が放映される、というときは、興奮の極度に達し、学校で「いよいよ来週から始まるぞ」「最初に出てくる、ツインテールという怪獣はすごいらしい」なんて話で友達とワクワクしていたのが懐かしい。

 で、この映画は、初期から「エース」までのウルトラシリーズを背景として、現在放送中の「ウルトラマンメビウス」をメインとした新作である。面白いのは、当初シリーズから世界観を統一し、かつてウルトラマンたちが活躍した現代日本に光の国からメビウスがやってしたという設定で、これでかつてのウルトラ兄弟たちも昔の設定のまま出演できる、となった訳である。

 ちなみに「ウルトラ兄弟」というのは「帰ってきたウルトラマン」以降に出てきた設定で、最初、「ウルトラマン」と「ウルトラセブン」は独立した作品という設定だったのだが、いつの間にか「兄弟」ということになり、それは「タロウ」まで続き、「レオ」では光の国ではない滅びた獅子座星雲の宇宙人が地球にやってきて、セブンのモロボシ・ダンから「ウルトラマン」としての特訓を受ける、というそれはそれで70年代スポ根物を色濃く反映した、興味深い内容になっていた。

 子ども向けのヒーロー物というものは、ある面、時代性を強く反映する。仮面ライダーもそうだが、90年代に復活した平成ウルトラマン「ティガ」「ダイナ」「ガイア」はそれまでのウルトラマン=宇宙人という設定を否定。ウルトラマンは人間であり、光を手にした人間の進化した姿、という設定したために、「人間とは何か」「ヒーローとは何か」「正義とは何か」という深い部分まで掘り下げた話もあって、見応えがあった。ウルトラマンを見て育った世代が作り手になったとき、ヒーロー物にある意味での哲学を求めた結果だが、これも1つの時代性だろう。

 そこからやや中途半端ではあるが、怪獣は退治するだけでなく、地球上の生物である以上、保護もあるべきという新機軸を打ち出した「コスモス」を経て、平成ウルトラマンで求めた「哲学」と最初の「ウルトラマン」を掛け合わせ、さらにシリーズを進化させようという試みが劇場版「ULTRAMAN」「ウルトラマンネクサス」でされる。宇宙からやってきた驚異的な力=「ウルトラマンになる力」を手にしてしまった人間たちの苦しみや葛藤を描いたこの2作は、一般受けはしなかったが、大人の鑑賞にたえうるヒーロー物としては意義は大きいと思う。これは、ハリウッド製のアメコミヒーロー映画が熟成していったのと無関係ではないぢろう。

 それから旧シリーズの怪獣や宇宙人が復活し、かつての作り手、出演者も参加した原点回帰の「マックス」を経て、旧シリーズと世界観を一緒にする「メビウス」と到る訳だが、これも「ALWAYS〜三丁目の夕日」などからなる、昭和ブームを反映したものと言えるだろう。そういう意味ではこの作品でも時代性を感じる。平成ウルトラマンで求めた難しさはこの作品には薄い。

 だが、とっても印象的なのは、昭和のウルトラマンたち本人が当時のままの役柄で出演し、かつての自分たちの活躍、苦悩を経て今がある、という心境からメビウスを励ます部分は、平成ウルトラマンで作り手が求めた「哲学」のテイストがここでも感じられた。監督の小中和哉も、脚本の長谷川圭一も、ティガ以降の平成ウルトラマンを作り上げたクリエイターたちである。

 「ウルトラ」の遺伝子を継承しながら、平成ウルトラマンで追求した「ヒーローとは何か?」というテーマを、この映画では子どもにも分かりやすく描いていて、好印象を持った。いい意味で、ややマニア向けすぎた嫌いがあった平成ウルトラマンを経て、作品的にも誰もが楽しめる作品として成長、熟成した。作品中、怪獣に襲われたことでトラウマに陥った子どもに対し、ウルトラマンメビウスは「信じる力が勇気になる」と訴える。だが、その「信じる力」を、メビウスは先輩である昭和ウルトラマンから身をもって教わるのだ。

 昭和ウルトラマンが親なら、メビウスはその子どもで、正にこの映画を見る親子が楽しめるよう、二重に工夫して作られている。正に「こんなウルトラマン映画が見たかった!」である。CG的にも映画「ULTRAMAN」で素晴らしいスカイアクションを見せてくれた板野一郎氏がここでも素晴らしい仕事をしていて、ややCG臭がきつすぎるものの、ウルトラマンたちと巨大な怪獣の攻防戦は見応えがある。

 昭和のウルトラマン俳優たちも、皆さん還暦を過ぎているということだが、俳優として重ねた年輪が上手に役柄と重なっていて、あのヒーローたちが成長するとこうなるんだ、という妙な説得力を与えてくれる。とくに自分たちを犠牲にしてもメビウスを助けようと主張する正義感の強い北斗星司、それに同調し、ハヤタとダンを説得する郷秀樹の姿などは、当時のキャラクターをきちんと喚起させてくれる。これはウルトラマニアの長谷川、小中両氏だからこそで、作り手のシリーズへの「愛」を感じた。

 ストーリー的には難を言えばいろいろあるので星は3つにするが、エンドロールのオールスターパーティーは感涙物であった。こうなれば、篠田三郎氏にもご登場いただき、真夏竜氏、長谷川初範氏も入れて、昭和ウルトラマンオールスター勢ぞろいの映画をぜひ見たいものである。
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