スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ  新作レビュー

見た日/10月某日 ★★★

 スケバン刑事ですか!!!見てましたなあ、TとUは。Vはもうやめて、という感じで見てなかったが。もともと原作マンガのファンで全巻持っていたが、原作者の和田慎二氏は活躍のフィールドが少女マンガ雑誌だったので当時はあまりクローズアップされなかっように思うが、70年代後半から80年代にかけてこの方が書かれたアクション、SFマンガは本当に傑作中の傑作。とくに「スケバン刑事」は読み出したら止まらず、ハリウッド映画もひれ伏すほどの傑作ハードアクションコミックだった。

 で、テレビドラマ版は原作と比べるとかなりユルい出来で、そもそも原作ではキリリとして長身のサキを、タヌキ顔で当時バリバリのアイドルだった(その後、「トットチャンネル」などの傑作群でスゴイ女優さんにはなるが)斎藤由貴にすること自体に無理があった。しかし、可愛いアイドルがスケバン言葉を使うというミスマッチ感覚と、チープなアクションの中にも、実はキラリと光るセリフやストーリー展開がある妙な魅力でこのシリーズは異彩を放って、僕のオタク魂にも大いに火をつけた。とくにパート1での新田一郎(スペクトラム!!)作曲による劇伴(BGMね)は最高で、今でも燃える仕事のときは口ずさむほどである。

 そして、パート2の南野陽子主演「スケバン刑事U少女鉄仮面伝説」は、もう美少女アクション物の大傑作で、少女時代から鉄仮面(!!)を付けられ、土佐(!!!)で育った五代陽子が、「何の因果かマッポの手先」になって2代目麻宮サキを名乗る、というものすごい展開。ここで今回でも踏襲されているシリーズのヒナガタが出来上がるのだが、鉄仮面という設定によってサキの孤高感が高まり、設定は原作とは離れたが、作品が持つテーマ性は逆に原作に近づいた。これは原作コミックの中で和田氏も絶賛していた。

 ちなみに、このパート2を元に田中秀夫監督で映画版「スケバン刑事」が作られているが、これはかつての東映アクションを見事に継承した傑作で、当時流行の「ターミネーター」などのハリウッド娯楽映画の様子も取り入れ、どんでん返しもあったりする、痛快娯楽作に仕上がっていた。

 という訳で、今回の映画版「スケバン刑事」は、原作の純粋な映画化ではなく、テレビシリーズの続編的な作りになっている。だが、監督の深作健太氏、さすがにバイオレンスの巨匠の血を引くだけあって、原作のテイストであるハードバイオレンスの要素と、麻宮サキの孤高性はきちんと抑えている。

 テレビシリーズのファンには「これはスケバン刑事ではない」という意見もあるようだが、もともとテレビシリーズも荒唐無稽な出来だったことを考えると、テレビ版のコアな部分(例えば斎藤由貴や長門裕之の出演)を継承しながら、原作のイメージを大切にしたアクション映画に仕上げた点は実に正しい。

 全体の流れやラストの戦闘シーンなど乾いた感じの画面は往年の東映セントラルアクション(「遊戯」シーズなど)のテイストで見応えがあった。スタッフを見ると照明の渡辺三雄さんをはじめ、東映アクションを支えてきた往年のスタッフたちが多く参加していてうれしかったが、深作監督もいよいよ2代目としてエンジンがかかってきたな、という感じだ。脚本が「野獣死すべし」などの傑作アクションを書いてきた丸山昇一氏というのもうれしい。サキのセリフなどに、往年のキレがうかがえた。

 あややは目に力があるし、存在感もあり演技もいい。ただ、アクションの切れは今ひとつで、残念ながら敵役の石川梨華の方がアクションは切れがあった。しかし、最後のボンテージ・戦闘服は仮面ライダー2号のようだがカッコいいし、立ち姿にオーラもあるので許そう。

 敵のスケールがいまいちだったり、敵が犯罪を犯す動機が今ひとつだったり、欠点は多多あるが、テンポもいいし、演出、キャスティングにも見るべき点が多い作品だった。こういう日本映画にしかできないアクション映画はまたぜひたくさん作ってもらいたいし、ぜひ、パート2を作るときは信楽老など、原作に出てくる巨大な敵にサキを立ち向かわせてもらいたいものである。 
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