2014/12/11

地元カメラマンが教えてくれたこと  道東編  photo
釧路に入って初日の夕方撮影を終えると夜間撮影(というかテスト撮影)に移った。
場所はタンチョウの寝床で有名な音羽橋。
真っ暗の中で撮影していると通りすがりの車が止まり、おじさんがやってきた。
「撮れるかい?」
地元でタンチョウを撮ってるらしいカメラマンだった。
「おれも夜に撮ってみたけどいまいちダメだ」
「この場所もタンチョウがいっぱい入んなくなってなぁ、ダメなんだわ」

ぼくは適当に合わせて
「ふ〜ん、そうなんですか〜」

おじさんはどこから来たのか僕に尋ね、美瑛だと答えると
「ほぉ〜遠いとこから来たのになぁ。今年はまだあんまりタンチョウがいなくてダメなんだよ」

「今日は月が明るいなぁ。でも今日はダメだな。川面が月灯かりで輝くには月が高い位置に来るからな。俺もやったことあるけどダメだった」

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そう言われても僕には数日間で何かを撮るしかない。
そして僕のカメラにはしっかりと、この場所の生態が写しだされていた。
作品のレベルには程遠いけど、そこにはタンチョウの家族、その近くを歩くシカの親子もいた。
連続写真の中にはタンチョウの真横を歩いているのが写っていた。
「お互い天敵じゃないから隣を通っても平気なんだな〜」

やがて白鳥が降立ち、タンチョウの横を泳いでいたり飛んだりしていた。
タンチョウはというと、しばらくはモゾモゾしながらあっちウロウロこっちウロウロしていたが、やがて眠りについてほとんど動かなくなり、川面は静まりかえった。

そんなカメラでしか見えない夜の風景をずっと見ていると楽しくなってきた。
そして作品作りを撮影し始めた。
でもテストで写したこの写真が一番好きかな。
中央にタンチョウ、左にシカの家族が豆粒のようにブレて写っている。
たったこれだけで、ただの川面が生命の息吹に満ち溢れている。

夜間撮影を終えてぼんやりおじさんのことを考えていた。
きっとおじさんには、想像の中で思い浮かぶことのできる最大級の映像を撮ることしかできなくなってるんだなぁ。
でも、最近のぼくにもそんなところあったなぁ。
人にはあんなことを言わないけど、目的の撮影があっても天候がベストじゃなかったら「いまいちだな。今日は止めとこう」って。
それでいて少し良くなったらミスったかぁ。ま、仕方ないなって。
天候の安定しない大雪山でこれを繰り返すとカメラを握ることができなくなってしまう。

やはりフィールドに出て、見て、感じて、多くの無駄の中に時々何かが降りてくるように現れるのだ。
それは目的の風景だったり、思いもかけない出会いだったり。
結果的にはその場で時間を過ごした僕の心象風景で、
いいのが撮れる時は必ずと言っていいほどそうだった。

旅に出る直前、偶然にもジム・ブランデンバーグというナショナルジオグラフィックのカメラマンの言葉を読んでいた。
http://www.nikon-image.com/enjoy/interview/nps/magazine/worldphotographer/jim_brandenburg/

旅の初日。
このおじさんと出会えたことは僕にとって凄くラッキーだったと思えた。

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