「深川神社」の隣に「陶彦神社」がある。陶祖加藤四郎左衛門景正を祭っている。加藤四郎左衛門景正(藤四郎)は、鎌倉時代の始め(1190年代)奈良近郊で藤原元安という役人の家に生まれ、成人後、久我(こが)大納言道親卿に仕えたと伝えられる。京都深草で土器類を作り、高麗などの焼物を蒐集し、その焼成方法を研究し、貞応2年(1223)道元禅師に随行し宋へ渡り、6年間焼物造りの秘法を学んだというのが一般的な伝承である。
帰国後、焼物に適した良質の粘土を求め全国行脚し、途中、瀬戸に立ち寄り深川神社に参篭した際、「神社より巽の方角(南東)、祖母懐(そぼかい)の地に、良土がある」という神のお告げを受け、良い木節粘土を発掘したという。以後、瀬戸に窯を築き釉薬の開発に貢献するなどして瀬戸陶業の始祖となったとの伝承である。深川神社の社宝の「狛犬」は、神のお告げに感謝した藤四郎が奉納したものとされている。
文政7年(1824)藤四郎の偉業を称え、「陶彦神社」が創建された。現在の「陶彦神社」社殿は、大正15年(1926)に建てられた。
4月の第3土・日曜日の「陶祖まつり」では、総勢100人余りの男女が鎌倉時代の衣裳に身を包んで、街中から「陶彦神社」までの道のりを練り歩く御物奉献行列が行われる。

陶彦神社鳥居。

陶彦神社社殿。

「お願い狛犬」

「お願い狛犬」の案内。