「旧蚕影山祠堂」
【旧所在地】神奈川県川崎市麻生区岡上
【指定】川崎市重要歴史記念物
●宮殿 1棟
【構造形式】1間社春日造(隅木入)、向拝軒唐破風付、柿葺覆殿
【建築年代】文久3年(1863)
●覆殿 1棟
【構造形式】正面入母屋造・背面寄棟造、妻入
【建築年代】元治2年(1865)頃
「蚕影山(こかげさん)祠堂」は、養蚕の神「蚕影(こかけ)大権現」を祀り、養蚕の繁栄を祈った祠である。覆殿内部の宮殿の両側面には養蚕の神様である金色姫の物語、獅子・鷹・舟・庭の4場面が彫刻されている。もともとは川崎市麻生区岡上の東光院境内に祀られ、人々の信仰を集めていたが、養蚕の衰退とともに堂の維持が困難になったため川崎市に寄贈された。
棟札によると、宮殿は、文久3年(1863)に再興されたことが判明し、造営には岡上村講中のもの38人が助力したことがわかる。覆殿は、2年後の元治2年(1865)頃に作られたものと推察されている。この地区は、幕末の開港後の輸出用生糸の生産を担った養蚕農家が集中したものと思われる。
なお、「蚕影山神社」というのが、茨城県つくば市神郡にある。標高200mの蚕影山山中に鎮座。創建伝承は古く、崇神天皇時代に祀られたと伝えられる。成務朝時代筑波国造により、養蚕や農業の発展に力が注がれ、蚕影山の麓に蚕影山桑林寺が建立されたという。蚕影山桑林寺は、明治の廃仏毀釈により廃寺となり、蚕影山神社のみ残された。
*蚕影山・金色姫の伝説(神奈川県相模原市宮下自治会HP)
http://members2.jcom.home.ne.jp/miyashimojichikai/kyoudoshi/kokage.html
*川崎市教育委員会文化財案内
http://www.city.kawasaki.jp/88/88bunka/home/top/stop/zukan/z0026.htm

「旧蚕影山祠堂」覆殿。

案内表示。

「旧蚕影山祠堂」宮殿。

宮殿側板壁の彫刻。金色姫の物語を表わしている。

宮殿側板壁の彫刻。

「旧蚕影山祠堂」解説。