吉野8 金峯山寺蔵王堂
金峯山寺は吉野山のシンボルであり、修験道の根本道場である。
金峯山とは吉野山から山上ヶ岳(大峰山)にいたる山々の総称で、“金のみたけ”という意味を持つ。山上ヶ岳にある大峰山寺への玄関口の役割を持っている。
創立年代は不明であるが、役行者が金峯山を開き、平安時代に聖宝理源大師が蔵王権現像を安置したといわれている。以降、中世において隆盛をきわめ、現在も金峯山修験本宗総本山として偉容を誇っている。
蔵王堂は、金峯山の高台にそびえたつ、東大寺大仏殿に次ぐ木造の大建築で、現在の本堂は天正20年(1592)に再建された室町末期を代表する建造物である。
正面5間、側面6間、建物の周りに裳階(もこし)を付けた入母屋造り、桧皮葺。高さが約34mある。
本尊として3体の蔵王権現像をまつり、中尊の高さは7m余りの巨像である。
堂内は内陣と礼堂からなり、松やチャンチン(香椿 センダン科の落葉高木)など自然木を素材のまま使った柱68本が林立するさまは豪壮である。
また、内陣の2本の金箔張りの化粧柱や須弥壇は太閤秀吉が花見の際に寄進したものといわれ、桃山建築の美しさを残している。

蔵王堂

蔵王権現三像は、過去・現在・未来の姿を現す。
本地(本来の姿)は、千手観音菩薩(右・過去)釈迦如来(中央・現在)、弥勒菩薩(左・未来)

この大迫力の蔵王権現像には魅了される。