大沢在昌『暗約領域 新宿鮫XI』光文社 2019/11/19
前作『絆回廊』から8年、「新宿鮫」最新作、第11弾である。
1991年に第1作の『新宿鮫』が上梓され、第12回吉川英治文学新人賞と第44回日本推理作家協会賞長編部門受賞している。
以後「新宿鮫」シリーズは『毒猿』、『屍蘭』、『無間人形』(1994年第110回直木賞受賞作)『炎蛹』、『氷舞』、『灰夜』、『風化水脈』、『狼花』(2006年日本冒険小説協会大賞)、『絆回廊』(2012年日本冒険小説協会大賞)と書き継がれてきた。
大沢在昌作品の中では、この新宿鮫シリーズは特に面白い。張り詰めた緊張感がある中、多様に張られた伏線は最終盤で見事に回収され、その上で印象的なエンディングが用意されている。
今作は、700頁を超える大作であるが、ストーリーに引き込まれて、あっという間に読み終えてしまった。それでも正味4日ぐらいかかったが・・・
さて、主人公鮫島は、ずっと一匹狼の刑事であったが、前作『絆回廊』で、彼の後ろ盾となっていた上司桃井が殉職、心を支えてくれていた恋人の晶とは別れて、両方を失った。
本作では、新たな女性の上司阿坂、その阿坂から命令されてパートナーとして組んだ矢崎が登場した。彼らとの今後の関係性も気になるところであり、今後もこのシリーズには期待して良さそうだ