カールべンクス『古民家の四季』新潟日報事業社 2010/6/2
昨日、NHK・BSで「カールさんとティーナさんの古民家村だより」という番組をやっていた。
ドイツ人建築デザイナーのカールさんが、新潟の限界集落をよみがえらせた。朽ちかけた空き家を次々に再生。美しい古民家が多くの人をひきつけ、子育て世帯も増えてきた。
和洋折衷の心地よいインテリア、湧水を引いた庭でのガーデニング、育てた野菜を使って妻ティーナさんが作るとびきりおしゃれな料理。移住してきた人々も、集落の人たちとともに、豊かな自然の中でそれぞれの暮らしを楽しむ。「奇跡の集落」のひと夏を描いたものである。
『古民家の四季』は、そのカールベンクスの古民家再生手腕と、古民家を通して過ごす春夏秋冬の姿を追った本である。
カール・ベンクスは、1942年ベルリン生まれ。ベルリン・パリの建築デザインオフィスで建造物・家具の修復を学ぶ。1966年に来日。1994年から新潟県十日町市竹所に居をかまえ、県内外の古民家の再生を行い、これまで手がけたものは約40軒。2007年、日本の古民家再生の実績が評価されて第2回安吾賞「新潟市特別賞」授賞。著書に『カールベンクス よみがえる古民家』新潟日報事業社 2004。
カール・ベンクスのことば
「私が日本にやってきたばかりの高度経済成長が始まろうとしていた頃は、まだ東京は銀座にも木造の建物が立ち並び、日本の風情がそこかしこに感じられました。それが、経済成長とともに、日本全国、風景や建物、街並みの画一化が進んでしまいました。
どこへ行っても、その地の文化、生活のにおいがしない、のっぺら棒のような風景になってしまいました。
「古い家のない町は、思い出のない人と同じです」とは、東山魁夷がわたしにくれた言葉。古い=価値がないのではありません。
古いものは、歴史や思いがつまった、単なる”モノ”以上のものなのです。
使い捨て、大量消費の文化とともに、日本人はモノを大切にすることを忘れつつあるのかもしれません。
この世界に誇れる文化の現状は私にとって残念で悲しいものです。私は、その素晴らしさを後世に残し伝えたいと思います。
民家の再生は、単なる建物の再生ではありません。民家の再生が、スクラップアンドビルドに象徴される現代日本の価値観、その見直しや、暮らし方、考え方の再生にもつながることを私は望んでいます。
カールベンクスの再生した古民家
古民家再生第1号、現在自宅として使用している「双鶴庵」
十日町市松代・竹所
べんがらハウスと呼ばれる古民家
イエローハウスと呼ばれる古民家
