高橋繁行『土葬の村』講談社現代新書 2021/2
内容
第一章 今も残る土葬の村
第二章 野焼き火葬の村の証言
第三章 風葬 聖なる放置屍体
第四章 土葬、野辺送りの怪談・奇譚
●奈良盆地の東側の山間部一帯と、隣接する京都府南山城村。村の九割が土葬だったが2019年に訪れた時には激減。
●野辺送り。死者を埋葬家まで送る際に、野辺の道で葬列を組むことにある。遺族、親戚、僧侶、一般の村人が参列し、白いのぼりが風に舞い、村人が手作りした葬具を野道具として携え、死者の棺を担いで歩く。
●座棺は進行方向の反対向き。死人は自分の生まれ育った家を見ながら墓場に向かう。
●日本では土葬が法律で禁止されていると思い込んでいる人が意外に多い。しかし東京、大阪などの自治体の条例によって禁止区域が指定されている場合もあるが、国の定める墓地埋葬法で、土葬が禁じられているわけではない。
●信仰上の理由で例外なく土葬されるイスラム教徒用の墓地。
●日本の仏教、神道がともに、死者に接し日本人の霊魂感や民族信仰をすくいあげ、日本人の精神生活を豊かにしてきたことも見えてきた。市民グループによる「土葬の会」ができた事は、今後の新しい潮流になるかもしれない。