湯河原には熊やシカが生息できるだけの自然がないが、イノシシはたくさんいる。まだ撮影に成功してないが、突然の遭遇、異常接近は何度もあるし、その生活痕はいたるところにある。
もっともよく見られるのが、林道脇に堆積した落ち葉をひっくりかえしたり、地面を耕したような跡。これはミミズを食べるためのようだ。ヤマイモの根、じねんじょも好きなようで、あちこちに深さ50、60センチの穴が空けられている。最初、人が掘ったものとばかり思っていたが、よくみるとイノシシの仕業が多いのが分かってきた。
野生動物は姿を発見することは難しいけど、その痕跡はじっくり観察すれば見えてくる。写真はついさっきまでイノシシが横になっていた寝床。近くにこれもいまヤマイモを掘ったばかりの穴があり、新しい糞もあった。
この寝床は人間が落ち葉の上に転んで何度も寝返りをうったぐらいの面積があるが、人ではこれほどへこまないと思える深さだった。ここで何日も寝ていたんだろう。それまでイノシシは姿の隠れる笹などのブッシュにねぐらをつくるものと聞いていたが、人がめったに森に入らなくなり、イノシシも数が増え過密状態なのか、林道からわずか200メートルほど入った場所にこれがあったのだ。
そして、これらを撮影し終わり、近くの倒木に腰をおろして休もうとしたら、突然目の前4、5メートルのブッシュで、耳をつんざく野獣の咆哮がした。飛び上がって三脚を手に身構え、すぐ突進してくるものと覚悟したが、荒い鼻息とともに2、3度鳴いたあと、鳴き声が急に横を向いて、ドッ、ドドドドーと一気にでかい足音で走りはじめた。
すごい速度で斜面を走り降り、バキバキ枝の折れる音はするはで、猪突猛進という言葉そのままだった。どこかにぶつかるんじゃないかと心配したほどだ。しばらくその音は鳴り響いていた。イノシシもパニクッたんだろうね、隠れていたすぐ目の前に人間が座り込んで。
由布姫さん、図鑑やカメラ買っても利用する時間もなさそうですね。
それと、先々山へ入っていろいろ撮影するときのアドバイス。
信州の山には日本の野生動物の代表がそろってますが、全部知るのはとうてい無理だから、好きな場所を決め、せいぜい数キロ範囲を集中的にやるのがいいと思う。釣りも同じなんですが、一箇所を深く理解できると、他でも応用が効くんです。私の主な観察範囲もせいぜい4キロ四方ぐらいなもの。
忙しいからたぶん非日常的な開放感がほしいでしょうが、それはそれとして、まずは狭いエリアで目を皿にして・・・。あっ、生物撮るとは言ってませんでしたね。
検索に引っ掛かるよう、キーワードを少し書いておきます。「湯河原のホンドテン、湯河原のニホンリス、湯河原のホンドイタチ、湯河原の自然、野生、湯河原のイノシシ、湯河原の冒険」

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