1999年、6月
新しく来た正社員とうまくいかず、六年働いたマクドを辞めたオレが次にバイトしたのがTSUTAYA。
新人はまずバックという作業をやる。簡単に言うと、帰って来たビデオを売り場の箱に戻すだけ。
二日、三日続けているうちに、店内にある噂が広まった。
「新人の白石君はアダルトのバックが異常に速い。」
確かにその通りだった。自分自身今でも理由が解らないが、あの時のオレはシャア・アズナブルクラスのニュータイプだった。
アダルトマスターというあだ名がついた。
殺意が芽生えた。
当然ながら女性従業員もいるのに。
本音を言えば彼女たちの前でアダルトのバックに行くだけでも恥ずかしいのに。
今思えば本当に・・・かわいかった・・。
そして時は経ち、オレはビデオ担当の中でもアダルト限定の担当となった。
カウンターを長時間空けても誰も文句を言わない。
「白石さん?あぁ、アダルトんとこおるんちゃう?」
そんなポジションを確立してしまったオレはいつしか周りに誰がいようが下ネタOKのヨゴレへと成り下がったのだ。
例えば家族でドラマを観ていて突然濡れ場シーンが始まった時のあの気まずさ。
ああいうものをオレは失いつつあった・・・。
沖縄から来た清純な少女はオレにこう言った。「白石さんはめっちゃいい人やけど...」近くにいた美少女も頷く。
目が醒めた...。
オレが熟女コーナーを嫌い、淘汰したのと同じくオレ自身も敬遠されるかもしれない...。
これからは生々しい体験談は避けよう。笑いを取れる程度にしよう。特に女性の前では...。
オレに常識が甦った・・・。
2006年 1月
一番から最後の女性客が帰った。今日はスタッフも全員男性。カウンターは常連客のみ。
さぁて...
開放するか...
「関係者各位様へ」
ここまでが限界です。
あまり生々しい表現はできませんでした。
だって誰が見てるかわかんないもん!

0